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・ 新型コロナウイルス感染症拡大で、20年に市場が大幅拡大
・ 香りや保湿成分配合など、付加価値が求められる
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ベトナムは新型コロナウイルス感染症拡大を
もっともよく防いだ国の1つといえます。
外出制限も一時期行われましたが、
他の国に先駆け日常生活に戻りました。
それでも感染に対する警戒は残り、使い捨てマスクをつけ、
手洗い・うがいを徹底し、手指を消毒する人は以前に比べ確実に増えました。
ベトナム人は手をこまめに洗うというより、
小さな消毒液を持ち歩いて手指を消毒する人のほうが多いようです。
そのためスーパーには持ち歩きできる小型の消毒液が
たくさん並ぶようになりました。
スーパーやショッピングモール、レストランなどの入口には
プッシュ式の消毒液が設置され、来店客が手指を消毒する光景も定着しました。
消毒剤の流通は新型コロナウイルス感染症拡大を機に激増したのは事実ですが、
かといってそれまでまったくなかったわけではありません。
清潔意識の高まりで、以前から少しずつ店頭に増えてはいました。
ですのでたとえ新型コロナウイルス感染症が終息しても、
消毒剤市場が大きく縮小したりなくなることはなさそうです。
ここではベトナムの消毒剤市場についてみていきます。
◇ 市場概観
ドイツ系調査会社のStatistaによると、
ベトナムの手指の消毒剤市場規模は、2016年の1892万USDから年16％前後ずつ成長し、
新型コロナウイルス感染症が拡大した2020年には5126万USDへ跳ね上がったと予測されています。
2021年には多少落ち着いて4742万USDへ減少する見通しですが、
それでもコロナ前2019年（2953万USD）に比べれば高い水準を維持。
2020～2025年の年平均成長率は6.5％となる展望です。
ITC Trademapによるとベトナムによる消毒剤の輸入額は、
2015年の1281万2000USDから2019年の4451万7000USDまで、
毎年25％以上の成長を見せています。
とくに2017年以降は40％以上の成長をみせるなど、成長の著しさが目立ちます。
2019年を基準とした輸入元は、
インド（1585万5000USD）、英国（9279万USD）、ベルギー（4466万USD）、中国（3722万USD）
などの順になっています。
◇ 消毒剤の種類
ベトナムでは50ml未満で持ち歩き可能な消毒剤は個人が、
500ml以上の消毒剤はポンプ式で手軽に消毒できるようになっている形態のものを店舗が、
それぞれ好んで利用しています。
また消毒剤による皮膚への刺激やアルコール臭を軽減するため、
ホホバオイルやココナッツオイルなど保湿成分、
またラベンダーやシトラス、ローズなど天然香料が、
それぞれ配合された製品が出回っています。
◇ 競合状況
ベトナムでは新型コロナウイルス感染症拡大で、
石鹸や洗剤メーカーが消毒剤を作る傾向がみられました。
石鹸製品の「Lifebuoy」などを販売しているユニリーバは、
同シリーズの消毒剤（4万1000VND/100ml）を販売開始しました。
一方ベトナムの洗剤メーカー、リックス（Lix）も
消毒剤の「On1」（2万6000VND/100ml）を販売。
競合と同レベルの品質ながら安価な価格で人気を得ています。
同社の売上高は2020年1～3月期以降、前年同期比54％増の3813万USDを、
純利益は66％増の2773万USDを、それぞれ記録しました。
このほかベトナム企業ではサイゴンコスメティクスの「Kleen」（2万7900VND/100ml）、
グリーンクロスの「Green Cross」（3万VND/100ml）、
外資系では英ガーディアンの「Guardian」（4万VND/59ml、ベトナム・マレーシア生産）、
米ゴージョーの「Purell」（フランス生産、2万3000VND/30ml）などがあります。
◇ まとめ
単に手指を消毒する機能だけでなく、
香りや保湿成分などが追加されるなど顧客のニーズに応じて製品の質が向上しています。
ベトナムには輸入品も多く出回っており、
量や香り、価格などの種類別に選択肢が多い市場です。
メーカーはブランド力と機能、香りなどの付加価値と、
価格とのバランスが取れた製品をターゲットに合わせて販売していく必要に迫られています。
◇ 参考：
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▶︎レポート執筆者
T.S.
ベトナム在住。日本をはじめベトナムや韓国の文化・経済ネタを中心に記事を執筆。
これまでの記事執筆としては、大手出版会社の韓国文化記事やベトナム生活に関わる記事の執筆、
日本や韓国、ベトナムニュースサイト、機内誌、情報誌など向けに記事を執筆。
ベトナムの韓国マーケットに精通しており、韓国語の翻訳・通訳経験豊富。
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